KS樹脂ライニング
KS樹脂ライニングは、プラスチック材料の長所を最大限に生かしています。プラスチック材料は、軽く、高級な金属材料(ハステロイ、チタンなど)にも匹敵する耐食性を有する一方 で、強度が低く、割れやすいのが難点です。
KS樹脂ライニングは、金属材料(鉄やステンレス)の表面にプラスチック材料を接着させることで、プラスチック材料の短所を補います。
KS樹脂ライニングとは熱可塑性樹脂の中でも特に耐食性、耐熱性にすぐれるビニルエステル樹脂を用いたFRPライニングです。
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KS樹脂ライニングの構造
- KS樹脂(表層):樹脂の含有率を高め、耐食性を重視した層
- KS樹脂(中間層):ガラス含有率をやや高め、耐クラック性を重視した層
- KSプライマー:特殊配合の樹脂で、優れた接着性を示す
- 下地(強度材):適切な表面処理により、良好な接着性を得る
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KS樹脂ライニングの耐食性
KS樹脂は、市販の不飽和ポリエステル等と比較してエステル含有量が少なく、加水分解しにくい構造であるため、各種薬品に対してすぐれた耐食性を有します。KS 樹脂ライニングにはKS-1005 とKS-1001 の2 種類があり、ご使用の環境によってお選びいただけます。
環境 KS樹脂型番 KS-1005
(ビスフェノール系ビニルエステル)KS-1001
(ノボラック系ビニルエステル)耐酸性 優 優 耐アルカリ性 優 不可 耐塩水性 優 優 耐溶剤性 一部使用可 優 耐浸透性 優 優 -
ビニルエステル樹脂および不飽和ポリエステルの一般的構造式
ビニルエステル樹脂はエステル含有量が少なく高耐食です。
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ビスフェノール系ビニルエステル
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ノボラック系ビニルエステル
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イソフタル酸系不飽和ポリエステル
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KS樹脂ライニングの施工実績
装置名 | 腐食環境 | |
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硫酸貯槽 | 使用温度 | 60℃ |
液組成 | 65%硫酸 | |
硫酸希釈槽 | 使用温度 | 80℃ (max.100℃) |
液組成 | Conc.硫酸 → 30%硫酸 | |
塩酸貯槽 | 使用温度 | 50℃(max.60℃) |
液組成 | 35%塩酸 | |
苛性ソーダ 希釈槽 |
使用温度 | 80℃ から放冷 |
液組成 | 48%苛性ソーダ → 20%苛性ソーダ | |
次亜塩素酸 ソーダ貯槽 |
使用温度 | 60℃ (max.70℃) |
液組成 | 12%次亜塩素酸ソーダ + 3%苛性ソーダ | |
廃水貯槽 | 使用温度 | 60℃ |
液組成 | 含マレイン酸廃水 | |
海水淡水化装置 | 使用温度 | 60~100℃ |
液組成 | 濃縮海水 | |
酸化塔 (排煙脱硫関連) |
使用温度 | max.90℃, pH 2~4 |
液組成 | CaSO3 + air → CaSO4・2H2O | |
冷却塔 (焼却炉排ガス処理装置) |
ガス温度 | 750~800℃(入口), 80~90℃(出口) |
ガス組成 | 2000ppm 亜硫酸ガス, 500ppm 塩素ガス | |
液組成 | 3%苛性ソーダ または水(循環液として) |